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若き日のバレンタインデーの想い出

我が国においてはバレンタインデーは、女性から男性へチョコレートなどをプレゼントするのが正しいマナーだとされています。
しかし、この日は私のようなモテない男にとっては苦痛の日です。
モテる友人たちを尻目に、誰からも何も貰うことが出来ずに一人で寂しく過ごさなければならないのです。
その苦しさ、惨めさといったら言葉では表現できません。
確かに義理チョコのようなものを貰うことはありますが、それは本質的な喜びには繋がりません。
ほんの気休め程度になることもありますが、多くの場合、却って気持ちは沈んでしまいます。
ですから私は子供の頃から長い間ずっと、毎年、寂しいバレンタインデーを過ごしてきたのでした。
ところが二十歳を過ぎて仕事の関係で短期間、欧米で働いた時、私はバレンタインデーの本当のマナーを知ったのでした。
その日は本来、男性が女性にバラの花束やプレゼントを贈る日だったのです。
それを知った私は、心底驚きました。
それまでの自国での習慣は一体何だったのか、訳が分からなくなって混乱してしまいました。
しかし、気を取り直してよく考えてみれば、自国ではモテずに常に蚊帳の外だった私ですが、欧米では自分も参加することができるのだと気付いたのです。
確かに私は欧米でも基本的にはモテない男であることには変わりはありませんでしたが、しかし、それでも女性にプレゼントをすることはできるのです。
たとえ相手から本気で相手にしてもらうことは出来なくても、少なくとも私にもその日を楽しむことはできるのです。
そこで私は、身近にいた素敵な欧米人の女性たちに、可愛らしい花束をプレゼントしました。
お金がなかったので小さなものしか贈れませんでしたが、それでも皆さん、喜んで受け取ってくれました。
おかげで私は生まれて初めて、バレンタインデーを心から堪能することができました。
それは小さな自己満足に過ぎない喜びなのかもしれませんが、それでも私には十分に嬉しかったのでした。
あれから四半世紀が過ぎた今、私も今ではすっかり中高年のオヤジになりましたが、毎年、バレンタインデーを迎えるたびに、若き日の欧米でのバラの花束のプレゼントを思い出します。
私にとっては忘れられない素敵な思い出なのです。

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