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不器用な彼氏からの再プロポーズ

1年近くお付き合いを続けていた彼氏は、結婚願望こそ強いものの、私にプロポーズをする素振りをずっと見せないままでした。
付き合う前から、お互い年齢も年齢だし早く結婚したい、子供が欲しいという夢物語ばかり広げて、実際に一歩を踏み出すことをどこか躊躇っていたものです。
思えば彼氏はいつだって私の意思を尊重するあまり、どこか受動的であったり遠慮がちであったりしていました。
それが彼の優しさであり、彼のそんな一面に惹かれたのかもしれません。
それであっても、やはりプロポーズは男性からしてほしい。
そんな乙女めいた思想に自分自身でびっくりしました。
しかし、この人を逃してしまえば自分は一生添い遂げる相手と二度と出逢えないかもしれない――私だけでなく、彼もそう考えているであろうことは容易に想像できたのです。
結果として、業を煮やした私は逆プロポーズを仕掛けてしまいました。
それも畏まった場ではなく、デートで立ち寄ったコーヒーショップで「次の資格試験に受かったらお嫁さんにして」と何気なしに呟いていました。
恐らく、照れ隠しだったのでしょう。
それに対して彼氏の反応はあまりにあっさりとしたものでした。
「いいよ」と軽く同意したかと思うと、そのまま、結婚したら毎日楽しいねなどと穏やかな様子で笑っていただけなのです。
こうして私と彼氏はどうにも釈然としないまま、婚約を交わしました。
それからブライダル雑誌を買ったり、結婚式場を意識し始めたりと、ぼんやりと婚約者らしいことを進めるも、今一つ実感が湧くことがありませんでした。
そのプロポーズの翌月のことです。
私と彼氏は付き合って1年の記念日を迎えました。
その日は彼の仕事が忙しく、夜の9時を過ぎてようやく夕食のお店に彼は現れました。
約束の時間から2時間以上も遅刻をされた上に私自身の体調が悪かったため、少し不機嫌な様子で彼氏を迎えてしまったのです。
そんな私に彼氏は誠意をもって謝ってくれたあと「どうしても今日これを渡したかったんだ」と鞄からジュエリーボックスを取り出しました。
そこには、上品で綺麗な、ダイヤとパールの小粒のネックレスが入っていたのです。
ありきたりと言えばそうかもしれません。
しかし、失礼ながら彼氏のお給料はそんなに高くないことも知っているし、毎日の残業でジュエリーショップに足を運ぶことも困難だし、そんな彼氏の掌に輝くそれは私にとってあまりにも眩しすぎました。
そして、彼は更にこう言いました。
「いつもありがとうって気持ちを表したくて。お嫁さんになっても、ずっとありがとうって思い続けるよ。これはその証明なんだ」その時私はようやく気付いたのです。
これは彼なりの精一杯のプロポーズなのだと。
不器用で照れ屋で少し間が悪い彼氏が、私のことを目一杯考えて行動してくれた結果なのだと。
私は彼氏の手を握りました。
そして、心からの感謝とともに「これからもよろしくお願いします」と、大粒の涙を流しました。

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