プレゼントイメージ

全校児童が私のために送別会を開いてくれました

私は結婚前には、学校図書館司書として公立の小学校に勤めていました。
とても性に合う仕事で、毎日子供たちに読み聞かせやブックトークをしたり、子供たちと一緒に物語の登場人物の絵を描いて本の紹介文と一緒に図書室内に掲示したりと、楽しみながら働いていました。
コミュニケーションと創意工夫とを楽しむことができる、私にとって転職とも言える素晴らしい仕事でした。
しかし結婚が決まって遠方に引っ越すことになり、そのため私は年度末で辞めることになってしまいました。
子供たちはとても悲しみ、中にはショックで泣いてくれた子もいました。
悲しませてしまって申し訳ないと思いつつも、悲しんでくれている様子を嬉しいとも感じていました。
2月下旬のある日のことです。
給食時間と掃除時間とが終わって5時間目の予鈴が鳴った後、私は突然教頭先生に、校内放送で体育館に呼び出されました。
誰かが寄贈図書を大量に持ってきたのかなと思いながら体育館に行くと、なんとそこには、全校生徒が集まっていました。
そして体育館の舞台には、ペーパーフラワーで私の名前と今までありがとうという文字とが大きく飾られていました。
なんと小学校全体でこっそり企画して、5時間目の授業を私の送別会にしてくれていたのです。
学級担任でも何でもない、ただの司書である私なんかのために、全校児童が送別会を開いてくれたのです。
送別会では、子供たちがたくさんの催しをしてくれました。
図書委員たちは、「いつもは読んでもらっていたけど今回は私たちが読みます」と言って、感動的な有名短編小説を交代で読んでくれました。
低学年の子供たちは、送る言葉として、詩人の詩をいくつか朗読してくれました。
中学年の子供たちは、私がブックトークとしておこなっていた落語や演劇の舞台の感想文を読んでくれました。
それらを聞きながら私は、涙が止まらなくなりました。
壇上から見える数百名の子供たちの顔を、私は全て知っています。
図書室は全校児童が利用するものだからです。
そういう意味では学校図書館司書は、学級担任と異なり大勢の子供たちと触れ合える素晴らしい仕事でした。
壇上から一人一人の顔を見ながら、私はそのことをしみじみ感じていました。
教頭先生は、私のおかげで本好きな児童が増えたと感謝の言葉を述べてくださいましたが、私こそ日々の仕事の中で、そしてこの送別会でたくさんの感動をもらいました。
こうして胸いっぱいに感謝の気持ちを抱えて、私は退職したのです。

Copyright(c) 2011 present.com All Rights Reserved.