プレゼントイメージ

祖父がくれた最後の誕生日プレゼント

小学校の頃、祖父母とよく一緒にデパートに出かけました。
そのデパートのエスカレーターに乗ると、2階から3階に上がる途中にジュエリーショップのディスプレイがよく見え、そこには、ゴールドの素敵なネックレスが展示されていました。
私はそのネックレスに釘付けになり、デーパートに行く度「大人になったらあんな素敵なネックレスをしたいな」と祖父母に話し、祖父母はそれを見てニコニコ笑っていました。
それから何年かが過ぎ、中学生になった頃、祖父が癌に侵されました。
大腸癌でした。
大腸癌と言うのは、他の癌と比べると進行がゆるやかで、投薬治療や放射線を続けることで、発症から10年近く生きることも稀では無いと先生から話があったのですが、以前からあまり身体が強い方では無い祖父が、日に日に弱っていく姿を見て心を痛めました。
祖父は、闘病日記を付けており、自分の飲んだ薬や、体調、そして私達孫のことを数行程度記述していました。
発症から3年が経過したころ、父から祖父があまり長く無いことを知らされました。
大腸癌が、体中に転移してしまったのです。
そして私が高校2年生になった頃、祖父は力尽き、とうとう帰らぬ人となりました。
遺品を整理していた時、毎日綴っていた闘病日記を見つけました。
そこには、驚きの記述があったのです。
それは、幼いころ、私が素敵だと言っていたネックレスを体調が悪いのにも関わらず買いに行ったこと、そしてそのネックレスを祖母に預けたので、次の誕生日に自分がいなくなっていたら、代わりに渡して欲しいと書いてあったのです。
私は、涙が止まらなくなり、目の前が見えなくなりました。
あの時のことを覚えていたことも驚きでしたが、大変な状態の中、ネックレスを買いに行ってくれた祖父の深い深い愛情を感じ、涙が枯れるまで泣きました。
その年の誕生日、祖母が小さな箱を渡してくれました。
それには、幼い頃、私が欲しいと言っていた同じブランドのネックレスが入っていました。
これが祖父からの最後の誕生日プレゼントとなりました。
そのネックレスは、私のお守りとなり、大事な日は必ず身に付けています。
ネックレスをつけていると、祖父をすぐ近くに感じることができるのです。

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